新しいお客様を1人増やすのと、いまのお客様にもう一度来てもらうの。手間と費用が少なく済むのは、どちらでしょうか。
多くの会社は、売上を伸ばそうとするとき、まず新規のお客様に目を向けます。広告、チラシ、SNS。新しい出会いは目に見えて分かりやすく、手を打った実感もあります。ここまでは自然な流れです。
ところが、新しく来たお客様の多くが、一度きりで終わっていたらどうでしょう。毎月新しいお客様を集めても、同じだけ離れていく。穴の開いたバケツに水を注ぐように、集客の費用だけがかかり続けます。
しかも、離れていったお客様は、記録の上では静かに消えるだけです。誰も気づかないまま、翌月も新規集めが続きます。
ここで順番を入れ替えてみます。新規を増やす前に、ファネルの後ろ側、つまり一度利用したお客様が2回目、3回目と続いているかを見る。そこが太くなれば、同じ新規の数でも売上は積み上がっていきます。自社では、初めて利用したお客様のうち、何人が2回目も利用しているでしょうか。
2回目を利用するお客様も、いきなり常連になるわけではありません。どこかで知り、興味を持ち、比べて選び、初めて利用した。その先に、続けて利用するかどうかの分かれ道があります。
お客様は「出会う → 興味を持つ → 理解・比較する → 行動する → 関係を深める → ファンになる」という6つの段階を通って、お店や商品にたどり着きます。この流れを「セールスファネル(=ファネル)」と呼びます。買うまでの道のりを段階で捉える考え方はカスタマージャーニー※1として広く使われていて、それを実際の商売の流れに合わせて6つに整理したものです。一方通行ではありません。ファンになった方の紹介が、また新しい「出会う」を生んでいきます。

この記事で扱うのは、6段階のうち後ろ側にあたる⑤関係を深める・⑥ファンになるから見直す、という考え方です。よく聞かれる3つの質問に答えていきます。
Q. 新規より後ろ側を先に見るのは、なぜですか
結論から言うと、後ろ側が細いままだと、新規を増やした効果が残らないからです。一般に、新しいお客様を獲得するには、いまのお客様に続けてもらうより大きな費用がかかると言われます。後ろ側が太ければ、一度来たお客様が売上を積み上げ、さらに紹介で新しい出会いも連れてきてくれます。ファネルの循環が回り始めるのです。
やること:先月初めて利用したお客様の数と、そのうち今月も利用した人の数を書き出し、割合を出す。
Q. 後ろ側の細さは、どうやって確かめればいいですか
見る数字は3つです。2回目の利用があった人の割合であるリピート率※2、最後の利用から一定期間たったお客様の数、紹介で来た新しいお客様の数。この3つを並べると、後ろ側のどこが細いかが見えてきます。記録がなければ、まずは直近3か月分を、予約台帳や売上の記録から手で数えるところからで十分です。
やること:リピート率・一定期間来ていないお客様の数・紹介の数の3つを、直近3か月分数える。
Q. 後ろ側を太くするには、何から始めればいいですか
最初の一手は、初めて利用したお客様への「次の接点」を決めることです。お礼の連絡、使い方の案内、次回に使える特典。初回のあとに何もなければ、お客様は次の機会を思い出しません。接点を1つ置くだけで、2回目につながる人は変わります。
やること:初めて利用したお客様に、1週間以内に届ける連絡を1つ決め、文面をつくる。
太くすべきは、入口より出口の先
売上を伸ばそうとすると、目は自然と入口に向きます。けれど、お客様が一度きりで離れているなら、入口を広げてもこぼれる量が増えるだけです。ファネルの後ろ側を先に見直し、続けて利用してもらえる流れを整える。それができてから入口を広げれば、集めたお客様が売上として積み上がっていきます。
ファネルの“後ろ側”から見直すために
- 後ろ側が細いと、新規を増やした効果が残らない
- 初回から2回目に進んだ人の割合を、まず数える
- リピート率・離れたお客様・紹介の3つで細さを確かめる
- 初めて利用した人に、次の接点を1つ置く
ピクニックは、サービスファネルの会社です
私たちピクニックは、お客様の商売をファネルでとらえ、どこに伸びしろが眠っているかを分析し、その段階に合った手を一緒に考える会社です。
その「後ろ側からの見直し」を設計図にするのが 構想設計 です。顧客像と提供価値の整理 × 6段階のファネル診断 × 強化する段階と施策の優先順位づけまでを伴走し、集めたお客様が積み上がっていく流れをつくります。
まずは自社で、初めて利用したお客様のうち何人が2回目も利用しているか。そこが見えれば、あとは後ろ側から太くしていくだけです。現状を一緒に確かめてみませんか。
注釈
※1 カスタマージャーニー:お客様が商品やサービスを知ってから、検討し、購入し、使い続けるまでの道のりを段階に分けて整理したもの。各段階で相手が何を考え、どこで迷うのかを見える形にするために使う。
※2 リピート率:一度利用したお客様のうち、2回目以降も利用した人の割合。
