コラム

認知を広げる前に決める、伝えたい一番のメッセージ

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「うちの強みは、技術力と対応力と、価格と、地域密着です」

新しいチラシの打ち合わせで、社長が言います。どれも本当のことです。並べると、頼もしい会社に見えます。

ところが、出来上がったチラシを配っても、反応は思ったほどではありませんでした。展示会で配ったパンフレットも、ホームページも、同じように強みが4つ並んでいます。問い合わせてきた人に「どこで知りましたか」と聞くと、返ってくるのは「名前は見たことがある気がする」という答えです。

4つの強みを伝えたつもりが、どれも記憶に残っていなかったのです。

伝えたいことが多いのは、それだけ伝えられることがある証拠です。足りないのは、最初に届ける一言を決めることだけ。新しい強みを探す必要はありません。自社を一言で紹介するとしたら、何と言うでしょうか。

チラシやホームページで自社を知った人も、すぐに問い合わせるわけではありません。名前を覚え、気になって調べ、他社と比べてから、ようやく連絡してきます。最初の一言が記憶に残らなければ、その先の道のりは始まりません。

お客様は「出会う → 興味を持つ → 理解・比較する → 行動する → 関係を深める → ファンになる」という6つの段階を通って、お店や商品にたどり着きます。この流れを「セールスファネル(=ファネル)」と呼びます。買うまでの道のりを段階で捉える考え方はカスタマージャーニー※1として広く使われていて、それを実際の商売の流れに合わせて6つに整理したものです。一方通行ではありません。ファンになった方の紹介が、また新しい「出会う」を生んでいきます。

セールスファネル6段階の図(出会う・興味を持つ・理解・比較する・行動する・関係を深める・ファンになる)

この記事で扱うのは、その出発点にあたる①出会う=認知の段階です。認知を広げる前に、伝えたい一番のメッセージを決める手順を、3つのステップで見ていきます。

ステップ1|まず、強みを全部書き出す

この手順の目的は、選ぶための材料をそろえることです。一番を決めるには、候補が目の前に並んでいる必要があります。

社長だけでなく、社員にも「うちの会社のいいところ」を書いてもらいます。あわせて、お客様に褒められたこと、選ばれた理由として言われたことも集めます。社内の見方とお客様の見方は、ずれていることも少なくありません。

やること:社内とお客様の両方から強みを集め、1枚の紙に並べる。10個ほど並んだら次へ進みます。

ステップ2|「誰に」で絞り込む

次の目的は、届けたい相手にとっての一番を選ぶことです。強みに順位をつけようとすると迷いますが、相手を決めると選びやすくなります。

いちばん増やしたいお客様を1人思い浮かべ、その人が最初に知りたいことは何かを考えます。工場の設備担当者なら「急ぎの修理に何日で来てくれるか」、子育て中の家族なら「子ども連れでも気兼ねなく来られるか」。並べた強みの中から、その問いに答えるものを1つ選びます。

やること:いちばん増やしたいお客様を1行で書き、その人に向けて強みを1つだけ選ぶ。

ステップ3|一言にして、すべての接点でそろえる

最後の目的は、選んだ強みを、何度触れても同じように伝わる形にすることです。チラシとホームページと名刺で言っていることが違えば、記憶は積み重なりません。

選んだ強みを、20文字ほどの一言にします。これが自社の中心となる一言、コアメッセージ※2です。決めたら、チラシの見出し、ホームページの最初の一文、名刺の裏、すべてで同じ一言を使います。

やること:一言をつくり、いまある販促物とホームページの最初の一文を、その一言にそろえる。

届くのは、たくさんの強みではなく、ひとつの一言

認知を広げる前に必要なのは、伝える量ではなく、伝える一言です。強みを全部並べるより、一番を一つ決めて、何度も同じ言葉で届ける。そうすれば、初めて会う人の記憶にも、自社の名前が残るようになります。

伝えたい一番のメッセージを決めるために

  • 強みを全部並べると、どれも記憶に残らない
  • 社内とお客様の両方から、強みを集める
  • いちばん増やしたいお客様に向けて、一つに絞る
  • 一言にして、すべての接点で同じ言葉を使う

ピクニックは、サービスファネルの会社です

私たちピクニックは、お客様の商売をファネルでとらえ、どこに伸びしろが眠っているかを分析し、その段階に合った手を一緒に考える会社です。

その「一番のメッセージ」を決める作業を形にするのが 構想設計 です。顧客像と市場の整理 × 提供価値と選ばれる理由の言語化 × 伝える媒体と順番の設計までを伴走し、頭の中の強みを、チームで使える一言に変えます。

まずは自社を一言で紹介するとき、社員全員が同じ言葉を使えるか。そこが見えれば、あとはその一言を届けるだけです。現状を一緒に確かめてみませんか。


注釈

※1 カスタマージャーニー:お客様が商品やサービスを知ってから、検討し、購入し、使い続けるまでの道のりを段階に分けて整理したもの。各段階で相手が何を考え、どこで迷うのかを見える形にするために使う。

※2 コアメッセージ:会社や商品について、最も伝えたい中心となる一言。媒体が変わっても同じ言葉を使うことで、記憶に残りやすくなる。