「いつもありがとうございます。また来てくださったんですね」
レジで店長がそう声をかけると、お客様の顔がぱっと明るくなります。常連さんの顔と好みを覚えている店は、それだけで選ばれる理由になります。
ところが、その常連さんが誰なのかを、店長以外は知りません。店長が休みの日に来た常連さんは、初めてのお客様と同じように扱われます。しかも、店長が覚えているのは顔を合わせる機会の多い人だけ。通販で毎月注文してくれる人や、家族の分までまとめて買ってくれる人は、記憶に残らないまま埋もれています。
朝礼で「常連さんを大切に」と言っても、誰を大切にすればいいのかは分からないままです。
実は、その答えはすでに手元にあります。レジや予約、通販の記録には、誰が、いつ、何を、いくら買ったかが残っています。新しい調査は要りません。記録を並べ直すだけで、店を支えている人の顔が見えてきます。自社の売上の半分は、何人のお客様が支えているでしょうか。
その常連さんも、最初から足しげく通っていたわけではありません。どこかで店を知り、比べて選び、何度か利用するうちに、いつしか人に勧めてくれる存在になった。そうした人の一言が、新しいお客様を連れてきます。
お客様は「出会う → 興味を持つ → 理解・比較する → 行動する → 関係を深める → ファンになる」という6つの段階を通って、お店や商品にたどり着きます。この流れを「セールスファネル(=ファネル)」と呼びます。買うまでの道のりを段階で捉える考え方はカスタマージャーニー※1として広く使われていて、それを実際の商売の流れに合わせて6つに整理したものです。一方通行ではありません。ファンになった方の紹介が、また新しい「出会う」を生んでいきます。

この記事で扱うのは、その最後、6つめにあたる⑥ファンになる=推奨の段階です。売上の記録からロイヤル顧客※2を見つけ出す手順を、3つのステップで見ていきます。
ステップ1|まず、お客様ごとの記録を1つにまとめる
この手順の目的は、同じ人の買い物を、ひとりの記録として見られるようにすることです。レジ、予約、通販で記録が分かれていると、同じお客様が3人に見えてしまいます。
会員番号や電話番号など、お客様を見分けられる項目を1つ決め、それぞれの記録をつなげます。最初は表計算ソフトでもかまいません。
やること:記録が残っている場所をすべて書き出し、お客様を見分ける共通の項目を1つ決める。決まったら次へ進みます。
ステップ2|「最近・回数・金額」の3つで並べる
次の目的は、誰が店を支えているかを、感覚ではなく数字で見ることです。よく使われるのが、最後に買った日、買った回数、使った金額の3つでお客様を分けるRFM分析※3です。3つとも高い人が、いまの店を支えている人です。
お客様ごとに3つの数字を出し、それぞれ上から並べます。
やること:3つとも上位2割に入るお客様を抜き出し、名前の一覧をつくる。
ステップ3|一覧を、現場で使える形にする
最後の目的は、見つけた人を実際の接客や連絡に生かすことです。一覧が事務所のパソコンにあるだけでは、店頭の誰も気づきません。
予約や会計のときに、その人が上位のお客様だと画面に表示されるようにします。通販なら、注文が入ったときに担当者へ知らせが届く形もあります。上位のお客様の購入が途絶えたときに知らせが届くようにしておけば、離れかけた人にも気づけます。
やること:上位のお客様が来店や注文をしたときに、誰が、どの画面で気づけるようにするかを決める。
ファンは、記録の中にすでにいる
店を支えるファンは、新しく探しに行くものではありません。日々の記録の中に、すでにいます。並べ直して見えるようにし、現場で気づける形にする。それだけで、店長の記憶に頼っていた「いつもありがとうございます」の一言を、誰でもかけられるようになります。
ロイヤル顧客を見つけ出すために
- 常連さんを知っているのが一人だけだと、ファンは埋もれる
- レジ・予約・通販の記録を、お客様ごとに1つにまとめる
- 最近・回数・金額の3つで並べ、上位の人を見つける
- 見つけた人に、現場の誰もが気づける形にする
ピクニックは、サービスファネルの会社です
私たちピクニックは、お客様の商売をファネルでとらえ、どこに伸びしろが眠っているかを分析し、その段階に合った手を一緒に考える会社です。
その「記録の中のファン」を仕組みに変えるのが DXシステム開発 です。顧客情報の整理とCRMの構築 × 購入データの分析と見える化 × 予約や会計のシステムとの連携までを設計・開発し、ファンとの関係を裏側から支えます。
まずは自社の売上の半分を、何人のお客様が支えているか。そこが見えれば、あとはその人たちに気づける仕組みをつくるだけです。現状を一緒に確かめてみませんか。
注釈
※1 カスタマージャーニー:お客様が商品やサービスを知ってから、検討し、購入し、使い続けるまでの道のりを段階に分けて整理したもの。各段階で相手が何を考え、どこで迷うのかを見える形にするために使う。
※2 ロイヤル顧客:繰り返し利用し、売上への貢献が大きいお客様。周りに勧めてくれることも多く、新しいお客様を連れてくる存在になる。
※3 RFM分析:最終購入日(Recency)、購入頻度(Frequency)、購入金額(Monetary)の3つの指標でお客様を分類する分析方法。
