「チラシの反応、今回はよかったですね」
月曜の朝礼で、担当者の顔が明るくなります。先週まいたチラシで、新規の来店が20人。久しぶりの手ごたえです。
ところが翌月、その20人のうち、もう一度来たのは2人だけでした。しかも、誰が来ていたのかを店の誰も覚えていません。名前も連絡先も残っていないので、声をかけようにも、かけられないのです。
そしてまた、チラシを刷ることになります。
集客、接客、リピート。どれも手を抜いているわけではありません。チラシは丁寧に作り、接客の評判もいい。足りないのは、3つをつなぐ線です。集客の担当は「何人来たか」を見て、接客をする人は「目の前の一人」を見ている。その間で、次につながるはずのお客様がこぼれています。
つなぎ直すのに、新しい予算はほとんど要りません。いまある3つの仕事の「受け渡し」を決めるだけです。
先月来た新規のお客様のうち、何人の連絡先が手元に残っているでしょうか。
そもそも来店した20人も、チラシを見ていきなり店に来たわけではありません。チラシで店を知り、気になって調べ、他の店と見比べ、ようやく足を運んだ。そして一度来た人が常連になるまでにも、もう一段の道のりがあります。
お客様は「出会う → 興味を持つ → 理解・比較する → 行動する → 関係を深める → ファンになる」という6つの段階を通って、お店や商品にたどり着きます。この流れを「セールスファネル(=ファネル)」と呼びます。買うまでの道のりを段階で捉える考え方はカスタマージャーニー※1として広く使われていて、それを実際の商売の流れに合わせて6つに整理したものです。一方通行ではありません。ファンになった方の紹介が、また新しい「出会う」を生んでいきます。

この記事で扱うのは、この6段階を1本の線としてつなぐ考え方です。集客・接客・リピートがばらばらに動いているとき、どこで線が切れやすいのかを、3つの落とし穴から見ていきます。
落とし穴1|部署ごとに、別々の数字を見ている
集客の担当は来店数や問い合わせ数、店長は売上、接客スタッフは目の前のお客様の満足。どれも大事な数字ですが、それぞれが自分の数字だけを見ていると、受け渡しの場所が誰の担当でもなくなります。チラシで来た人が2回目に来たかどうかは、集客の数字にも接客の評価にも出てきません。だから、誰も気づかないまま線が切れていきます。
やること:①出会うから⑥ファンになるまでを1枚の紙に横に並べ、各段階に「誰が担当か」「何の数字を見るか」を書き込む。担当者が空欄になった段階が、線の切れ目です。
落とし穴2|次の段階への「渡し方」を決めていない
集客と接客の間、接客とリピートの間には、必ず受け渡しがあります。チラシを見た人が店に来たら、何を聞いて、何を渡すのか。初めての来店を終えた人に、次はいつ、何で声をかけるのか。ここが決まっていないと、その日の担当者次第になります。ベテランは自然にできても、新人は何もしない。結果は人によってばらばらです。
たとえば「初めて来た人には、会計のときに次回の案内を渡し、連絡先の登録をお願いする」と1行決めておく。それだけで、誰が担当しても④行動するから⑤関係を深めるへの線はつながります。
やること:段階と段階の境目ごとに「その場で何を渡すか」を1行で決め、全員が見られる場所に貼る。
落とし穴3|施策を、足し算で増やしすぎている
反応が落ちると、新しい施策を足したくなります。SNSを始める。ポイントカードを作る。クーポンを配る。どれも悪くありませんが、増やすたびにお客様との接点、タッチポイント※2が増え、それぞれが別の入口と別の出口を持つことになります。お客様から見ると、チラシとSNSとポイントカードで言っていることがばらばら。どこから入っても同じ道を通れる状態のほうが、施策の数より効きます。
やること:いまやっている施策をすべて書き出し、それぞれが6段階のどこを担当しているかを1つずつ割り当てる。どこにも置けない施策は、いったん止めて様子を見る。
増やすべきは施策ではなく、つなぎ目
集客も接客もリピートも、ほとんどの会社はすでにやっています。足りないのは、それぞれの間にある「つなぎ目」の設計です。つなぎ目が決まれば、同じ20人の来店から、来月また来る人の数が変わります。点で頑張っていたことが、線になって効き始めます。
集客・接客・リピートを、1本の線にするために
- 集客・接客・リピートは、6段階の上に並べると1本の線になる
- 各段階に担当者と見る数字を置き、空欄になった切れ目を見つける
- 段階の境目ごとに「何を渡すか」を1行で決める
- 施策は足す前に、どの段階を担当するかを割り当てる
ピクニックは、サービスファネルの会社です
私たちピクニックは、お客様の商売をファネルでとらえ、どこに伸びしろが眠っているかを分析し、その段階に合った手を一緒に考える会社です。
その「つなぎ目」の設計を仕組みに変えるのが 構想設計 です。顧客像と提供価値の整理 × 6段階のファネル設計 × 取り組む順番と役割分担の整理までを伴走し、ばらばらに動いていた施策を1本の流れに組み直します。
まずは6段階のうち、担当者が空欄になっている段階がいくつあるか。そこが見えれば、あとは境目を1つずつつないでいくだけです。現状を一緒に確かめてみませんか。
注釈
※1 カスタマージャーニー:お客様が商品やサービスを知ってから、検討し、購入し、使い続けるまでの道のりを段階に分けて整理したもの。各段階で相手が何を考え、どこで迷うのかを見える形にするために使う。
※2 タッチポイント:お客様が会社や商品と接するすべての場所や機会のこと。チラシ、店頭、Webサイト、SNS、スタッフとの会話などが含まれる。
