コラム

「らしさ」を言葉にする——ブランドの軸の見つけ方

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「ブランドづくりは、大きな会社がやること」

そう考える経営者は少なくありません。ロゴを作り直し、広告を打ち、時間とお金をかけて育てるもの。確かに、そういう面もあります。

けれど、社員数人の会社にも、ブランドはすでにあります。「あそこは説明が丁寧だから」「急ぎでも断らないから」。お客様が人に紹介するときに口にする、その一言です。問題は、それが社内で言葉になっていないこと。言葉になっていないものは、ホームページにも名刺にも載らず、担当者が変われば消えてしまいます。

つまり、新しく作る必要はありません。すでにある「らしさ」を拾い、言葉にするだけです。お客様は自社を人に紹介するとき、どんな一言で紹介しているでしょうか。

そして人に紹介してくれるそのお客様も、最初から自社を推していたわけではありません。どこかで知り、興味を持ち、他と比べ、依頼し、付き合いを重ねてきた。振り返れば、その道のりの先に紹介の一言があります。

お客様は「出会う → 興味を持つ → 理解・比較する → 行動する → 関係を深める → ファンになる」という6つの段階を通って、お店や商品にたどり着きます。この流れを「セールスファネル(=ファネル)」と呼びます。買うまでの道のりを段階で捉える考え方はカスタマージャーニー※1として広く使われていて、それを実際の商売の流れに合わせて6つに整理したものです。一方通行ではありません。ファンになった方の紹介が、また新しい「出会う」を生んでいきます。

セールスファネル6段階の図(出会う・興味を持つ・理解・比較する・行動する・関係を深める・ファンになる)

この記事で扱うのは、その最後、6つめにあたる⑥ファンになる=推奨の段階です。お客様が人に伝えたくなる「らしさ」の見つけ方を、3つの落とし穴から見ていきます。

落とし穴1|「らしさ」を、社内だけで考えている

自社の強みを会議で出し合うと、「品質」「誠実」「対応力」といった言葉が並びます。どれも間違いではありませんが、どの会社も同じことを言っています。社内で考えた強みと、お客様が感じている魅力は、ずれていることが多いのです。会議では「品質の高さ」が挙がったのに、お客様に聞くと「見積もりの説明が分かりやすい」と返ってくる。こうしたずれは珍しくありません。

やること:付き合いの長いお客様3人に「当社を人に紹介するとしたら、何と言いますか」と聞き、答えをそのまま書き留める。

落とし穴2|言葉を、きれいに整えすぎている

お客様から聞いた言葉は、ときに素朴です。「社長が電話にすぐ出てくれる」。これをブランドらしくしようとして「迅速なレスポンス」と言い換えた瞬間、らしさは消えます。具体的な場面が浮かぶ言葉ほど、人は覚えて、人に話せます。「迅速」はどの会社も名乗れますが、「電話にすぐ出てくれる社長」は、その会社にしかいません。

やること:集めた言葉のうち、具体的な場面が浮かぶものを残し、それを軸にした一文をつくる。これが提供価値※2を言葉にする出発点です。

落とし穴3|決めた言葉を、使う場所がない

せっかく言葉にしても、社長の頭の中にあるだけでは広がりません。ホームページ、名刺、見積書、スタッフの話し方。お客様が自社に触れるすべての場所で同じことが伝わって、はじめてブランド※3になります。ホームページには「丁寧な説明」と書いてあるのに、見積書は数字が並ぶだけ。そうしたちぐはぐには、作った側より、受け取る側のほうがよく気づきます。

やること:お客様が自社に触れる場所をすべて書き出し、決めた一文がどこに載っていて、どこに載っていないかを確かめる。

見直すべきは、飾る言葉ではなく、拾う言葉

ブランドの軸は、会議室でひねり出すものではありません。すでにお客様が口にしている言葉を拾い、磨き、使い続けるものです。その言葉がそろえば、紹介してくれる人も、同じ言葉で自社を語ってくれるようになります。

まとめ

  • 「らしさ」は、社内ではなくお客様の言葉から拾う
  • 具体的な場面が浮かぶ言葉を、そのまま軸にする
  • 決めた一文を、お客様が触れるすべての場所で使う
  • 言葉がそろうと、ファンが同じ言葉で広げてくれる

ピクニックは、サービスファネルの会社です

私たちピクニックは、お客様の商売をファネルでとらえ、どこに伸びしろが眠っているかを分析し、その段階に合った手を一緒に考える会社です。

その「らしさ」の言語化を仕組みに変えるのが 構想設計 です。顧客と市場の整理 × 提供価値と選ばれる理由の言語化 × 伝える場所と順番の設計までを伴走し、会社の軸を、チームで使える言葉に変えます。

まずは、お客様が自社を紹介するときの一言を、いくつ集められるか。そこが見えれば、あとは磨いて使うだけです。現状を一緒に確かめてみませんか。


注釈

※1 カスタマージャーニー:お客様が商品やサービスを知ってから、検討し、購入し、使い続けるまでの道のりを段階に分けて整理したもの。各段階で相手が何を考え、どこで迷うのかを見える形にするために使う。

※2 提供価値:お客様がその商品やサービスから得られる、具体的な良いこと。機能そのものではなく、使った結果どうなるかで表す。

※3 ブランド:お客様の頭の中にある、その会社や商品についての印象の集まり。ロゴや名前だけでなく、接したときの体験の積み重ねでつくられる。

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