同じ料理を出している2つの店があります。片方は毎日SNSに投稿し、もう片方は月に数回だけ。口コミが多く生まれるのは、どちらでしょうか。
多くの人は、毎日投稿している店だと考えます。実際、投稿が多いほど見てくれる人も増え、フォロワーも少しずつ伸びていきます。ここまでは狙いどおりです。
ところが、投稿の中身が「本日のランチ」「営業時間のお知らせ」ばかりだと、見た人はうなずいて通り過ぎるだけです。役に立つ情報ではあっても、人に話したくなる情報ではありません。
しかも、こうした投稿はお客様の側から広がりません。シェアされるのは、店が言いたいことではなく、お客様が誰かに伝えたくなることだからです。
変えるのは、拍子抜けするほど小さなところです。投稿の主語を「店」から「お客様」に移す。月に数回の投稿でも、口コミは生まれます。自社の直近10件の投稿のうち、お客様が主役になっているものは何件あるでしょうか。
そして口コミを書いてくれる人も、最初から自社を推していたわけではありません。どこかで知り、興味を持ち、比べて選び、何度か利用して、ようやく人に勧めたいと思うようになった。その道のりの最後に、口コミがあります。
お客様は「出会う → 興味を持つ → 理解・比較する → 行動する → 関係を深める → ファンになる」という6つの段階を通って、お店や商品にたどり着きます。この流れを「セールスファネル(=ファネル)」と呼びます。買うまでの道のりを段階で捉える考え方はカスタマージャーニー※1として広く使われていて、それを実際の商売の流れに合わせて6つに整理したものです。一方通行ではありません。ファンになった方の紹介が、また新しい「出会う」を生んでいきます。

この記事で扱うのは、その最後、6つめにあたる⑥ファンになる=推奨の段階です。お客様が自分から発信する口コミ、UGC※2が生まれる発信と生まれない発信の違いを、3つの観点で比べていきます。
観点1|誰が主役かで比べる
生まれにくい発信は、店や会社が主役です。新メニュー、営業時間、キャンペーン。どれも必要な情報ですが、読んだ人が誰かに話すきっかけにはなりにくいものです。
生まれやすい発信は、お客様が主役です。「開店から通ってくださる方が、今日で100回目のご来店でした」。こうした投稿を見た常連さんは「自分も載りたい」と感じ、新しい人は「そんなに通われている店なんだ」と受け取ります。お知らせの投稿は今いるお客様への連絡、お客様が主役の投稿は口コミの種。良し悪しではなく、役割が違います。
やること:投稿を「お知らせ」と「お客様が主役」の2つに分け、月に1本は後者を入れる。
観点2|話しやすさで比べる
生まれにくい発信は、伝えたいことが多すぎます。こだわりの食材、調理法、店の歴史。全部本当でも、人に話すときには覚えきれません。
生まれやすい発信は、一言で言い直せます。「あの店、雨の日は一品サービスなんだって」。言いやすいことは、人から人へ移っていきます。医療や介護の現場でも同じで、「送迎の運転手さんが、名前で呼んでくれる」といった一言が、家族の間で広がります。
やること:伝えたいことを1つに絞り、「人に話すならこう言う」という一言を先に書いてから投稿をつくる。
観点3|返し方で比べる
生まれにくい発信は、出して終わりです。コメントやタグ付けがあっても反応せず、お客様の投稿は流れていきます。
生まれやすい発信は、お客様の投稿に返します。「載せてくださってありがとうございます」と一言添えて紹介する。自分の投稿が拾われた体験は、それ自体が人に話したくなる出来事です。次の投稿も生まれやすくなります。
やること:自社の名前が出ている投稿を週に1回探し、お礼の一言を返す。紹介してよいものは、許可を得て自社の発信で取り上げる。
口コミは、お客様が話しやすい形で生まれる
口コミは、頼んで書いてもらうものではありません。お客様が誰かに話したくなる材料を、話しやすい形で渡したとき、自然に生まれます。投稿の数より、主語と一言と返し方。そこが変わると、ファンが自社の代わりに語ってくれるようになります。
口コミが生まれる発信にするために
- 口コミは、店が言いたいことではなく、お客様が伝えたいことから生まれる
- 月に1本は、お客様が主役の投稿を入れる
- 伝えたいことを、人に話せる一言に絞る
- お客様の投稿に返し、許可を得て紹介する
ピクニックは、サービスファネルの会社です
私たちピクニックは、お客様の商売をファネルでとらえ、どこに伸びしろが眠っているかを分析し、その段階に合った手を一緒に考える会社です。
その「話したくなる発信」を仕組みに変えるのが InfoBoost360 です。SNSの運用設計 × お客様が主役になるコンテンツづくり × LINEやメールでの継続的な関係づくりまでを伴走し、ファンが自然に広げてくれる発信を、社内で続けられる形に整えます。
まずは直近10件の投稿のうち、お客様が主役のものが何件あるか。そこが見えれば、あとは主語を入れ替えていくだけです。現状を一緒に確かめてみませんか。
注釈
※1 カスタマージャーニー:お客様が商品やサービスを知ってから、検討し、購入し、使い続けるまでの道のりを段階に分けて整理したもの。各段階で相手が何を考え、どこで迷うのかを見える形にするために使う。
※2 UGC:User Generated Contentの略。お客様など一般の利用者がつくって発信した、口コミや写真、投稿のこと。
