「会社紹介には、まず設備と実績を並べるべきだ」
正しく聞こえます。機械が何台、創業何年、取引先は何社。数字はごまかしがきかず、比べる側にとっても分かりやすい材料です。
ところが、同じ地域に同じ規模の会社が5社あれば、並ぶ数字はどこも似てきます。「最新設備を完備」「創業50年」「高品質・短納期」。サイトを見比べた人の頭には、どの会社がどれだったか残りません。
ここで一度、順番を入れ替えてみます。たとえば「創業者が、取引先の急な注文に応えるために、夜通しで専用の治具を作った」という話から始める。その治具はいまも工場で使われていて、だから短納期に強い。数字は同じでも、読んだ人は「困ったときに頼れそうな会社だ」と感じます。スペックは、その物語を裏づける証拠として後から読まれます。
つまり、数字を消す必要はありません。並べる順番を変えるだけです。
自社サイトの会社紹介は、最初の3行に何が書いてあるでしょうか。
そしてそのページを開いた人も、いきなり会社紹介を読みに来たわけではありません。取引先から名前を聞いたり、検索で見つけたりして、どこかで自社を知った。そのうえで「どんな会社だろう」と気になって、ページを開いています。
お客様は「出会う → 興味を持つ → 理解・比較する → 行動する → 関係を深める → ファンになる」という6つの段階を通って、お店や商品にたどり着きます。この流れを「セールスファネル(=ファネル)」と呼びます。買うまでの道のりを段階で捉える考え方はカスタマージャーニー※1として広く使われていて、それを実際の商売の流れに合わせて6つに整理したものです。一方通行ではありません。ファンになった方の紹介が、また新しい「出会う」を生んでいきます。

この記事で扱うのは、その2つめにあたる②興味を持つ=関心の段階です。会社紹介をスペックの一覧から“物語”に変えようとするとよく出る3つの声に、「実際は」を返していきます。
「取引先は、物語なんて読まない」——実際は
発注先を選ぶ担当者は、忙しい中で何社も比べています。情緒的な話より、仕様と価格を早く知りたい。これは半分当たっています。
ただ、担当者が社内で稟議を通すとき、上司に説明するのは「なぜこの会社なのか」です。「設備がそろっているから」だけでは、他社と並んだときの決め手になりません。「仕様の変更に、図面の段階から相談に乗ってくれた会社です」と言えれば、説明は通りやすくなります。物語で伝える手法はストーリーテリング※2と呼ばれますが、BtoBでは読み手が社内で使える言葉にもなるのです。
やること:会社紹介ページの冒頭に、お客様に選ばれた理由を1つ、具体的な場面つきで3行書く。
「物語になるような、特別な歴史はない」——実際は
劇的な創業秘話や、テレビで取り上げられた経験。そういうものがなければ物語にならない、と考えるのは自然です。
けれど、興味を持ってもらう物語に必要なのは、ドラマではなく「なぜ」です。なぜこの加工を得意にしたのか。なぜこの地域で続けているのか。なぜこのやり方にこだわるのか。理由のある選択は、どの会社にも必ずあります。社長や古くからいる社員に「なぜ」を3回重ねて聞くと、本人も忘れていた話がたいてい出てきます。
やること:自社の得意なことを1つ選び、「なぜそうなったのか」を社長と古くからいる社員に聞いて、答えを箇条書きで残す。
「数字を減らすと、信頼されなくなる」——実際は
実績の件数や、取得している認証は信頼の土台です。消してしまうのは確かに不安です。
ここで変えるのは、数字の量ではなく置き場所です。物語を読んで「頼れそうだ」と感じた人は、次にそれを確かめたくなり、数字を探しにいきます。だから、物語のすぐ後ろに、それを裏づける数字を置く。夜通し作った治具の話の後に、短納期で対応した件数が続けば、数字が物語の証拠になります。ただ並んでいるだけの数字より、ずっと記憶に残ります。
やること:会社紹介に並んでいる数字を1つずつ見直し、どの物語を裏づける数字なのかを横に書く。どの話にもつながらない数字は、ページの下のほうへ移す。
伝えるべきは、何を持っているかより、なぜそうしているか
設備や実績は、他社もそろえられます。けれど「なぜそうしているのか」は、その会社にしかありません。②興味を持つの段階で人の手を止めるのは、その「なぜ」です。数字はそのあとで、物語を裏づける役割を果たします。
会社紹介を“物語”で読ませるために
- 似た数字が並ぶと、比べる人の記憶に残らない
- 冒頭に「選ばれた理由」を、場面つきで書く
- 物語の種は、得意なことの「なぜ」の中にある
- 数字は消さずに、物語のすぐ後ろへ置き直す
ピクニックは、サービスファネルの会社です
私たちピクニックは、お客様の商売をファネルでとらえ、どこに伸びしろが眠っているかを分析し、その段階に合った手を一緒に考える会社です。
その「物語で伝わる会社紹介」を仕組みに変えるのが CustomBuild HP です。伝える相手と情報の棚卸し × 選ばれる理由が伝わる構成と言葉 × 公開後も実績を加えて育てる運用までを一体で支援し、会社の価値が伝わり続けるWeb基盤をつくります。
まずは自社の会社紹介の最初の3行に、「なぜ」がいくつ入っているか。そこが見えれば、あとは順番を入れ替えるだけです。現状を一緒に確かめてみませんか。
注釈
※1 カスタマージャーニー:お客様が商品やサービスを知ってから、検討し、購入し、使い続けるまでの道のりを段階に分けて整理したもの。各段階で相手が何を考え、どこで迷うのかを見える形にするために使う。
※2 ストーリーテリング:伝えたいことを、出来事や体験の流れに乗せて語る手法。事実を並べるよりも、聞き手の記憶や共感に残りやすい。
